近年の国内外にて頻発する大地震の影響で「耐震診断」に対する注目度が非常に高まっています。従来から商業用ビルにおいては耐震診断・耐震補強が比較的多く行われてきていますが、共同住宅に関してはその費用の問題もさることながら、占有部の補強工事の困難さから現実性が乏しい分野でした。しかし、防災行政の重要性の観点から行政側の耐震診断・耐震補強工事への助成制度の充実が図られたことに起因して、共同住宅の耐震診断の実施も近年増加傾向にあります。
現在、建物の耐震設計の基本となるのは、1981年6月に施工された所謂「新耐震設計法」であり、それ以前に設計・建設された建物は現行基準に適合しない所謂「既存不適格建物」として耐震性能の確認が望まれています。既存不適格建物の耐震性能は耐震診断基準に基づく耐震診断によって数値的に評価することが可能です。先の兵庫県南部地震を機に1995年12月に「耐震改修促進法」が施行され、その後の助成制度の拡充により、近年耐震診断・耐震改修の流れが一層加速されるようになりました。